7-8年前から、継続的にM&Aによって自分自身で中小企業を保有する機会は探っています。譲り受けたのは4社になりまして、うち3社は売却して1社だけ保有しています。
全社に共通して、最初はもちろん違いますが、途中からは私自身は何もしなくても、各社が頑張る状態になれています。ただ必然的に利益は当事者にほとんど配分しますので、私自身は恩恵を受けていません……。
ただ、それはしょうがないと捉えています。私が保有した会社では全員に会計情報も共有していますので、私が実働を何もしないでお金だけ取っていても「資本主義だからしょうがないね」と納得してくれる人はいないでしょう、と理解しているからです。
一方で最近感じるのは、仲介会社がテレビCMをやるくらいですから、かなり売買を考える人の間での知恵が共有されてきているのでしょう。恐らく最初は事業を純粋に営んでいたであろう創業者が、まるで投資ファンドがExit(売却)する時のように、「売る時のために数字を作っておく」ようなことをしている例を見ることが増えてきている気がします。
一番わかりやすいのは、スタッフの給料を抑えまくることです。
酷い例では、比較的短期間で会社をぐんぐん成長させていって、創業者自身の収入も億単位になっていたのにも関わらず、現場のスタッフのほとんどの月給は20万円前後のままほとんど昇給させていないということがありました。「みんなよく働くから、私がいなくても大丈夫。会社がどれだけ儲かってきたか? そんなのいちいち説明しませんよ。ただ、結構辞めるんですよね、なんでだろ?」と創業者は話していました…。
こうした会社は絶対に買いません。
無理やり作られた利益はアテになりませんし、会社のオーナーが変わったという話は、絶対にスタッフの間で「いくらで売ったんだろうね?」「え?? そんなに? なんで?」という会話が交わされますので、必然的に「どうして自分たちの給料は安いままなんだ?」と、次のオーナーにとっては自分が怒らせた覚えは全くないのに、スタッフの間では不満のマグマが溜まった状態からのリスタートになってしまうからです。
会社を買うということがブームのようになってきていますが、やり始めた人は是非頭の片隅に入れておいていただきたいです。
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